【知らないと損!】録音時のコーデック、調整してる?

はじめに
こんばんは。とうとう9月最後の週末に入りましたね。あと4日で10月、季節も徐々に進んでいます。ガールズグループ・Perfumeが活動休止を発表し、世代交代も進んでいます。詳しい記事は10月入る頃に。
さて、今回は、ミュージシャンなど音楽を仕事にしている人にとって大事なスキルを勉強しましょう!売れない歌手の皆さん、"あなた"こそ、その対象です!
配信でファンを集める時代に入った現代
かつて音楽活動というと、CDを制作してライブ会場やショップで販売することがメインの収益手段でした。しかし現代では、流れがすっかり変わっています。特に個人アーティストやインディーズ層にとっては、CDプレスや流通のコストをかけるよりも、YouTubeやSoundCloud、TikTokといったネット上のプラットフォームから直接ファンを獲得する流れが一般的になっています。僕自身も、ピアノ演奏を録音して動画や音源を公開していますが、配信を通じて新しいリスナーとつながる機会が増えていると実感しています。 いまや「ネット上に楽曲を置いておくこと」が、ファンを増やすための第一歩です。単発のライブで感動を与えることも大切ですが、日常的にコンテンツに触れてもらえる場を提供することで、徐々にリスナーとの関係は育まれます。そして、その時に意識すべきなのが「音質」や「録音フォーマット」なのです。
配信で聴く人の多くは、スマホやイヤホンという環境かもしれません。しかし、その環境に甘んじて録音品質を落としてしまうと、プロとの大きな差が生まれます。実際、聴いた瞬間に「この人はちゃんと音作りを意識しているな」と伝わる場合と、「ノイズっぽくて聴きづらいな」と感じてしまう場合では、視聴者の滞在率が大きく異なります。録音フォーマットやコーデックを理解することは、現代の音楽活動における「リスナーへの誠意」を示す材料でもあるのです。
つまり、今の時代における音楽活動は「ストック型の配信」を軸にした集客が基本であり、その根幹を支えるものがコーデックの選択だと言えるでしょう。
詳しくは前回の記事をご覧ください。
知っておきたい!録音時のコーデック

録音を始めるとき、まず選択肢として目にするのが「保存フォーマット」です。多くの機材やソフトでは、一般的にWAVやAIFFなどの非圧縮形式が推奨されていますが、依然として「MP3で録音しておけば大丈夫」と考えている人も少なくありません。確かに、一昔前はMP3が配信の中心でした。CDから曲を取り込む際にも、音楽プレイヤーに転送する際にも、MP3なら軽くて扱いやすいという理由で広く使われていたのです。
しかし時代が進み、YouTubeやSpotify、Apple Musicといった配信サービスが標準化した現代では、AACが中心のコーデックとして普及しました。AACは同じビットレートであればMP3よりも音質が良く、ストリーミング配信に最適化された仕組みを持っています。スマートフォンやタブレットが主要な再生機器となった今では、AACが最も一般的だと言ってもいいでしょう。
ただし、重要なのは「録音時点でのコーデック」選びです。AACやMP3といった非可逆圧縮は、どうしても録音時に情報を間引いてしまいます。その結果、後々ミックスやマスタリングを行ったときに、加工の幅が大きく制限されてしまうのです。
だからこそ、まず録音時点ではWAVかFLACを選ぶのが鉄則です。特に高解像度で残す場合、96kHz/24bitといった設定は近年のハードウェアやソフトウェアで十分対応できます。この解像度で録っておけばハイレゾ基準に近く、余計な劣化なしで編集できるので後悔がありません。
録音後の編集作業でも、ファイルをそのまま保持すると膨大な容量になってしまいます。ここでよく使われるのがFLAC圧縮です。FLACは可逆圧縮形式なので、音質を全く損なうことなくサイズを小さくできます。特に「レベル6」は圧縮効率と処理速度のバランスが良く、中間工程で使うのに適しています。
要点を整理するとこうです。
- 録音時には非圧縮(WAV)か可逆圧縮(FLAC)を使用
- 96kHz/24bitで保存しておけば編集の自由度が高い
- 編集工程ではFLACレベル6を活用してファイル管理を効率化
- 最後に配信先に合わせて最適なコーデックへ変換
こうした流れを定着させることで、自分の作品を安心して残していけるのです。
CD音源と同等の音質を誇る非圧縮コーデック
非圧縮コーデックとは、その名の通り「音のデータを一切圧縮せずに保存する形式」です。代表的なのはWAVやAIFF。これらは音質劣化がまったくなく、レコーディングやマスタリングでプロの現場でも日常的に用いられています。
CDに収録されている音源は、44.1kHz/16bitのPCMデータが基準です。WAVで録音すれば、ほぼ同じ形式で保存できるため、CDクオリティそのままの音質が得られるわけです。つまり、「最もシンプルで確実な保存方法」が非圧縮形式ということになります。
また、非圧縮形式は後から編集を繰り返しても劣化が発生しません。非可逆圧縮であるMP3やAACだと、一度劣化した音をさらに編集してまた圧縮...という流れでどんどん劣化していきます。それに対して、WAVに残しておけば原音のまま残るため、安心して再編集できるのです。
さらに、最近ではCDを超える「ハイレゾ音源」も一般的になっています。ハイレゾでは96kHz/24bit、192kHz/24bitといった仕様が扱われ、より広帯域で豊かな情報を保持できます。クラシックやピアノ作品など、繊細な倍音を聴かせたいジャンルでは特に違いが際立ちます。
ただし非圧縮形式には大きな欠点があります。それはファイルサイズの膨大さです。数分のピアノ曲であっても、WAVで96kHz/24bitなら数百MBになることも珍しくありません。制作においてはHDDやSSDの空き容量を意識する必要があるでしょう。
僕個人としては、録音本番では迷わずWAVを選びます。その後の扱いやすさを考え、中継でFLACにする流れが最もバランスが取れているからです。ただし、永久保存用として原盤は必ずWAVのまま残しておくことをおすすめします。
ストックメディアを軸にしながら、音質向上の方法も研究
音楽をネット配信する現代において、ストック型のコンテンツ戦略は欠かせません。ブログに記事を書いて検索流入を得るのと同じように、YouTubeのアーカイブやSoundCloudの投稿は、あなたの「作品資産」として積み上がっていきます。
しかし、その資産を最大限に価値あるものにするためには、「音のクオリティ」に注意を払う必要があります。非可逆圧縮でしか残していない音源は、未来に振り返った時に後悔する可能性が非常に高いのです。音質は人の感情に直結する部分であり、一度失われてしまった情報は絶対に取り戻せません。
だからこそ、録音環境やコーデック選びを「投資」として考えるべきです。ストックメディア時代では、一度録った作品が数年先に再生されることも当たり前。その時、作品の質が守られているかどうかで、あなたの評価も変わります。音質にこだわることは、長期的に見れば「ファンを守る行為」でもあるのです。
例えば、僕はYouTubeチャンネルでピアノ演奏を投稿しています。演奏の表情や会場の響きを正確に伝えるには、録音の段階から「正しいフォーマット」を意識する必要があります。逆に、そこを疎かにしてしまうと、「また聴きたい」と思ってもらえる確率は大きく下がります。特に一度きりのライブ録音や、再現が難しい即興演奏などは、音質を妥協すると取り返しがつきません。
音楽活動における「ストック」は、財産でもあり信用でもあります。録音フォーマットやコーデックの理解は、単なる技術的な問題ではなく、作品の未来価値を守る「戦略」でもあるのです。
普段使われる非可逆圧縮の限界
MP3やAACといった非可逆圧縮は、データ容量を劇的に削減できる一方で、情報を削り捨てています。例えばMP3の192kbpsあたりだと、人間の耳では聴き分けづらい部分まで大胆に間引かれます。結果として「音は聞こえるけど、生々しさが足りない」という印象が生まれるのです。 実際にピアノ演奏を録って比較してみるとわかります。非圧縮で残したWAV音源では、弦が震える余韻やホールの空気感までしっかり収録されます。しかしMP3では、その繊細な部分が薄れてしまい、平面的に聴こえてしまうのです。クラシックやジャズなどダイナミクスの大きいジャンルほど、この差は顕著に現れます。 さらに問題なのは「世代劣化」です。非可逆圧縮は一度劣化したデータを編集し、再度圧縮すると、そのたびに情報が欠落していきます。動画編集ソフトで音声を書き出す際、MP3を素材として取り込むと、完成時にさらに劣化が重なり「モコモコした音」になってしまうのです。

多くの人がスマホのスピーカーで聴くから大丈夫…そう思いがちですが、イヤホンでじっくり聴くリスナーや、大画面テレビで楽しむユーザーもいます。そのような環境で聴かれる時、非可逆圧縮の限界は如実に現れるのです。最終的に配信形式でMP3やAACを選ぶことがあっても、録音段階まで妥協するべきではありません。
可逆圧縮を知って、より効率よく配信を
可逆圧縮の代表的フォーマットがFLACです。FLACは情報をすべて保持したまま不要な冗長データだけを圧縮するため、再生時には元と全く同じデータが展開されます。つまり、「容量を削れるのに劣化しない」という理想的な形式なのです。
FLACには圧縮レベルが0から8まであり、数字が大きいほどサイズは小さくなりますが処理に時間がかかります。音質そのものには一切差はありません。一般的に、編集作業などに向いているのは「レベル5~6」。保存用なら「8」まで圧縮しても良いでしょう。
録音したWAVをそのまま残すとディスクがすぐに埋まります。しかし、FLACに変換しておけば半分程度の容量で同じ音質を維持できます。特にピアノ曲のように数分~十数分の長い録音を重ねる場合、この恩恵は非常に大きいです。
僕のワークフローでは、
この流れを採用しています。FLACをうまく使いこなすことで、音質を守りつつ作業効率も向上するのです。 さらに、可逆圧縮を知ることで「作品をどのように保管すべきか」という考え方も変わります。非可逆圧縮だけで管理していた頃は「古い作品を公開するのは恥ずかしい」と感じることもありましたが、FLACで残しておけば「過去の演奏を今の環境で蘇らせる」ことが可能になります。これが将来的な作品展開にもつながるのです。
コーデックの変換は用途に応じて
最後に、完成した音源をどのコーデックで配信するか。これは「用途に応じて最適化する」ことが必須です。
例えばYouTubeの通常動画なら、映像付きのMP4(480p。場合によっては720pも使う)に音声をMP3 320kbpsとして書き出すことで、十分な音質とファイルサイズのバランスが取れます。YouTube ShortsやInstagramリール、TikTokやLemon8といった短尺動画なら、データ転送を考えて縦型480p(又は720p)のMP4にAAC 128kbpsを組み合わせるのが最適です。
さらに音楽中心で届けたい場合、SoundCloudやBIG UP!のような音楽配信サービスにはFLAC(圧縮レベル5)が最も適しています。これらは音楽リスナーが「高音質」を期待して訪れる場でもあるため、可逆圧縮形式で提供できるのは大きなアドバンテージです。
一方、ブログなどに埋め込む際も用途に応じて切り分けが必要です。例えば試聴用にはAAC 128kbpsを置いておき、本編音源としてFLACのダウンロードリンクをつける、といった提供方法が考えられます。リスナーがどの場でどんな環境で聴くかを意識し、最良の形を選ぶことが何より重要です。
要するに「録音時は妥協しない」「編集時は効率的に」「配信は目的に応じて最適化」。これさえ意識すれば、長期的に見ても作品の価値を損なうことはありません。音質はファンとの信頼をつなぐもの。コーデックへの理解は、その第一歩になるのです。
おわりに
さて、ここまで見ていただいた読者の皆さん。ご理解いただけましたか?
このように、コーデックの違いを知ることで音質が変わってきます。僕も昨年までMP3やAACで録音から編集まで完結させて損していました。
しかし、皆さんにはこのような遠回りをしてほしくないのです。つまり、録音にはWAV、可能であればソニーで発売されているPCM-D10のような高いグレードのICレコーダーを常備してみてはいかがでしょうか。
こちらのボイスレコーダーは、ハイレゾ音源かつ、WAV 192kHZ/24bitという高音質で録音できます。是非、お試しあれ!
